重篤の患者さんと向き合う中での負担

救命救急センターで働く看護師は、他の職場で働く看護師に比べ、精神面での負担が大きい傾向にあります。
生死の間をさまよう重篤の患者さんを相手にしなければならないことを考えれば、誰もが納得できる事実でしょう。
人の命を左右するプレッシャーの重さは計り知れないものです。
また、看護師の精神面の負担の背景には、生活リズムが不規則であることも関連しています。
生活リズムが整いにくいのは、救命救急センターの夜勤回数が多いことが関係しているでしょう。
実際、救命救急センター内に入っているICUでは、夜間も患者さんの検査や処置をするため、多くの人員が必要になります。
救命救急センターで働く看護師の精神面の重さを少しでも解消するためには、人員配置や勤務体制などの見直しが不可欠です。
また、心と身体はつながっているため、夜勤の回数を減らしたり、休む時間を増らしたりと、肉体的な負担を減らす取り組みも求められます。

看護師が対応するケアの中で、特にショックが大きいのが、亡くなった患者さんの死後処理、エンゼルケアの場面でしょう。
「もっとできることがあったのではないか」などと、後悔の念が伴うこともあるかもしれません。
誰かの死に直面することは、人として非常に悲しく、つらいことです。
残された家族の様子を目の前にすれば、さらに胸が痛くなることでしょう。
しかし、看護師という立場上、そこで立ち止まる余裕はありません。
救命救急センターには、次々と新たな患者さんが搬送されてきます。
自身の心の整理をする暇もなく、次のケアに意識を向けなければなりません。
とはいえ、人の心は非常に繊細かつデリケートなものです。
無視し続けた心の悲しみやストレスは、いずれ自分を蝕みます。
看護師自身も職場側も、心のセルフケアの重要性を意識することが大切です。